2014年3月17日月曜日

第3話 都市銀行支店時代 =前半=

1994年4月に某都市銀行の都内私鉄沿線の支店に配属となった。

初日に支店での挨拶をすませるとそのまま研修センターに強制送還⇒2週間の研修(=軍人教育=ビジネスソルジャー)。まずここでびっくりした。周りの奴らが優秀というか勉強が出来る感じで正直馴染めない(笑) 他校の体育会出身者とつるんで毎晩大騒ぎするときだけは目立っていたが、研修になると大抵小さくなっていた。

その勉強の出来る感じの奴らがたいていJR沿線の主要店舗に配属されているのを見て、「やはりこういう世界なんだ。」と初めて気づく。そんな奴らとも毎晩飲んで、最後は涙で全国に散る。正直いい奴らばかりだったが、その時気付かなければいけなかったことは、「こいつらはいい奴らだ!」ということではなく、「本質的に勉強が出来て、なおかついい奴らだ!」ということ。

ここで言う「勉強が出来る」というのは、前述のパソコン的な表現でいうと、OS(オペレーティングソフト)が優秀という感覚。CPU(処理能力)では互角と思ったし、メモリ(記憶力)ならば勝てると思っていた。

かかし、銀行の支店業務ではOSの優秀さが大切だった。銀行社会は得点主義と減点主義両方を重視する。支店はどちらかと言うと減点主義の方が大きいかもしれない。取り扱う商品がお金だから間違いがあってはいけない。よって新入行員に求められるプライオリティーは①正確性、②迅速性、③ストレス耐性という感じ。

ちなみにオイラのそれまでの人生は①ストレス耐性、②迅速性、③正確性だったので真逆である。

最初の1年間は大過なく過ごしたが2年生になって大失敗をしてしまう。

2年目になると若手も担当先を持つ。しかし業務は上司、先輩からの頼まれごとに加え、支店全体の雑用、リクルーターなんかもあってテンコ盛り。当時はパソコンなんかないから資金繰り表を作るだけでも電卓、鉛筆、消しゴムの大回転だった。

OS性能の低いオイラは仕事が回らず、他の支店の同期達に相談すると、「自分が仕事をいっぱい抱えているときは理由を言って断るよ」、「そういう時は先輩にやってもらうよ」と、今考えれば当たり前のアドバイスをしてくれたのだが、当時のオイラはそれが出来なかった。

「来るもの(=仕事)は拒まず」「苦労は買ってでもしろ」という、ゴルフ部で身に着けた「努力に勝る天才はなし」を地で行く人間になってしまっていた。1000本ノックには1000本打ち返す心構えで戦っていた。しかしある日1本のノックを後逸してしまう。

そして処理できなかったボール(=仕事)を机の中に抱えたまま放置していた時に行内検査が入った。当然検査官にその不備を指摘され、支店の評価が下がってしまった。支店長に怒られ、副支店長にねちっこく言われ、課長に人間以下の扱いをされ、会社に行くのが嫌で嫌で仕方なかった。

それでもそういう時こそ前を向くのが心情だったため、その後も続く熾烈極まりない1000本以上ノック(←パワーアップ)を毎日顔面で受け続ける。それでも絶対に泣き言は言わなかった。それでもなお、この我慢強さが時に、銀行員として致命的なミスを招くということを理解していなかったのだ。

悲惨な状態が半年続いた。支店内での立場は改善しなかった。職場でノック、飲み屋でノック、週末は宿題。。。正直辞めようかと思い、とうとう大学ゴルフOBで私を銀行に誘ってくれた人に相談する。すると「オマエさ、今自分が抱えている仕事をメモとかしてるか?」と言われ、「当然それくらいしてますよ。」と答える。

すると先輩は続けて、「じゃ~お前の一日の仕事を言ってみろよ。」 オイラ「課長の宿題やって、代理の宿題やって、先輩たちのパシリやって、支店の人たちの飲み会企画して、二次会も手配して、自分の担当先の処理もして、集金して、支店の掃除をして、タバコの吸い殻を片付けて、、、、、」とルーティーンを全部言った。

先輩は「あれっ、オマエ、支店でトイレいかないの?昼飯も喰わないの?タバコも1本も吸わないのか?それもこれも含めてすべて1日の【やることリストに書いておけ】」と強く言われた。これが【ガーン】と来たね。あきれたんじゃなくて、「そうかそうすれば良かったんだ!」

すべてメモを書く。終わったら消し込む。だから自分のノートは毎日真っ黒。でも消込線が増えるとジョブが処理された感じがして嬉しい。ジョブの数を減らすのが楽しくなる。そして仕事のプライオリティーの付け方が分かるようになる。

このコツをつかむのに2か月もかからなかった。同時に1000本以上ノックに対して、1000本以上+1本を打ち返せるようになってきた。「なんか仕事あったらやりますよ!」って言うのが気分良かったですね、その時は(笑)

次話は都市銀行支店時代=後半=になるわけですが、後半は一見うまくいっているように見えます。でもここまで読んだ方は理解されていると思いますが、結局オイラは普通のOS(オペレーティングソフト)を搭載したあと、CPUを向上させたのではなく、CPUターボを後付し、強引にジョブを回していただけなんです。これって凄く危険なこと。オイラは今でもこの時にもっと失敗して、本質的なOSとCPUの向上を図るべきだったと後悔している。ようは小手先が(ちょっと)器用になってしまったということ。

CPUターボ: 動画編集などでCPUに処理能力以上の負荷がかかった時に、処理能力を一時的にあげるブースター的なもの。本質的な処理能力ではない。

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