2014年5月3日土曜日

こんなレポート書いてみました 【アップルが日本のスマホ市場で成功した要因】

ビジネススクールで何やってるの???と昔の仲間からよく聞かれるので、最近書いたWeeklyレポートを下記に、、、

証券マンだった頃の片鱗、まったくないでしょ(笑)

なんかフォントの調整が難しくて、読みにくくなってしまった。。。まぁ、最後まで読む人いないと思うけど(爆)


【アップルが日本のスマホ市場で成功した要因】
1、 日本スマホ市場の現状

①   2013年日本のスマホ出荷台数端末別シェア






    2013年第4四半期におけるAppleの伸びはドコモのiPhone販売開始によるものと推察されるが、1年を通してみてもAppleが他メーカーを大幅上回っている(図4ご参照)。


②   2013年日本のスマホ出荷台数OS別シェア



国内のOS別販売シェア(出典 カンター・ジャパン)



国内の前年同期比較(出典 カンター・ジャパン)

OSのシェアで比較してもアップルのiOSがGoogleのAndroidを大きく上回っていることが分かる。



2、 世界スマホ市場の現状

①   2013年世界のスマホ出荷台数端末別がシェア
    

②   2013年世界のスマホ出荷台数OS別シェア
    

  提供:IDC Worldwide MobilePhone Tracker


③   国別のスマホOSシェア比較
    
出所 2013年 スマートフォンOSの国別シェア(IDC作成)

   OS別ではGoogleのAndroidが販売台数シェア78.6%となっているのに加え、2012年対比で大幅に販売台数を伸ばしている。一方アップルのiOSのシェアは15.2%と減少している。
  スマホメーカー別にみるとトップのサムスンが31.3%、2位のアップルが15.3%。こちらもサムスンがシェアを伸ばす一方で、アップルはシェアを落とす形となった。
  国別に見ると日本のみアップルのiOSが突出していることが分かる。



3、 iPodおよびiPhoneの販売戦略

2003年に発売されたiPodは空前の大ヒットとなり、アップルの時価総額を5年間で150倍に押し上げた(10億ドル→1500億ドル)。市場にiPod発売前から同様のメモリー型携帯音楽プレーヤーが存在したにも関わらず、iPodがヒットした要因は以下の3点が挙げられる。1、高いデザイン性、2、高い操作性、3、ハード、ソフト、サービスを合体させたビジネスモデル。
特に3は、それまでにない革新的なビジネスモデルである。iPod(ハード)からiTunes(ソフト)にアクセスし、ユーザーの好みにあった映像や音楽(サービス)を手軽にダウンロードして楽しめるところがヒットの要因である。
またアップルは販売戦略として洗練されたイメージを強調した。直接販売をするアップルストア、量販店におけるiPhone販売ブースともに統一されたデザインを採用し、ブランド価値を高めることに成功した。


4、 日本でアップルが成功した要因
前述のようにアップルのiOSのシェアがAndroidを上回っているのは日本だけである。この結果を生み出した要因を下記の5点に分けて説明する。

①   日本メーカーの弱体化(海外メーカー>国内メーカー)
   
  日本の通信キャリアは通信契約件数増加を念頭においた販売戦略をとっている。通信キャリア各社は通信端末を携帯・スマホメーカーから全量買い取る。そして通信端末を値引き販売し、パケ放題など定額制ユーザーからのランニングコストで回収を図る。この販売戦略が端末の本来の価格を見えにくくしている。
  国内携帯・スマホメーカーは上記の通信キャリアの戦略のもと保護され、ときには開発コストの一部まで負担を受けていた。これによりグローバル展開する必要に迫られず、海外メーカーがしのぎを削る中ガラパゴス化の道を突き進み、世界的な開発競争の流れに大きくおくれをとってしまった。

②   通信キャリアによる歪んだ価格設定(iOS>Android)
  
  前述の通信キャリアの販売戦略はもう一つのゆがみをもたらした。それは本来であれば付加価値が高く、海外では高級品扱いされているiPhone(iOS)が日本ではAndroid端末と同じ価格(時には安く)販売されているのである。
 これはAndroid端末の販売戦略にも一部問題がある。Android端末は海外では最低限の機能のみ搭載した低価格スマホとして販売されている。しかし高付加価値ニーズの高い日本においては、様々な機能が付与されおり出来上がりのコストは海外ほど安  くはない。
 このように日本固有の要因で歪んだ販売価格のもと、高機能商品(iPhone)が本来は低機能商品(Android端末)と同水準で売られているのである。この観点からは消費者が高機能にも関わらず割安なiPhoneに向かっていると考えることができる。

③   日本におけるアップルの先行者メリット(iOS>Android)
  
   ソニーのMDウォークマンなどにかわりiPodは携帯音楽デバイスとしてトップシェアを走っていた。そのような環境下でiPhoneが発売されたのだが、Androidスマホの追随が遅れた要因も指摘できる。
  世界市場(含む日本)でiPhone3が発売されたのは2008年6月であったが、欧米においてAndroid端末は2008年10月から11月にかけて販売開始となった。しかし日本においてAndroid端末が発売されたのは2009年5月である。巨大なライバルが存在しない中でアップルはブランド力を全面に押し出し、スマホシェアトップの座を確立したのである。 出所 JCASTニュースWebページ 「日本人はなぜこんなにiPhoneが好きなのか ユーザーのITリテラシーが低いから?」より

④   操作性の良さ(iOS>Android)
   フィーチャーフォンからスマホへの切り替えにおける懸念要因として操作性の難しさがある。この観点においてアップルの機器は他のスマホ端末に比べて操作性に優れているという評価が多い。それはiPodから継承された「お洒落で使いやすい」というブランドイメージが浸透しているからであろう。

⑤   中流層の多い日本
   中流層が多く、ブランド志向の比較的強い日本においては、低価格スマホを所有することに抵抗を感じる人も多い。低価格商品で通常使用するくらいなら、ちょっと背伸びした商品を購入して廉価使用することを選択するユーザーが多いように感じる。


  このように日本におけるアップルの成功は、複合的な要因から成り立っている。現行のAndroid端末には機能を削減して販売価格を下げる戦略がオプションとして残されている。しかし実質的な販売価格に大きなディスカウントが発生したとしても、先行者メリット、操作性の良いイメージ、ブランド志向の強さなどを勘案すると、低価格スマホがアップルの牙城を大きく崩すものとは考えにくい。よってアップルの一人勝ちは当面続くものと予想している。


参考文献
クレイトン・M・クリステンセン(2013)「経営論」ダイヤモンド社
山田英夫(2007)「逆転の競争戦略」生産性出版

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