2014年12月2日火曜日

国債格下げについて(その2)

久しぶりの格下げだったせいか、お問い合わせが結構ありましたので、本件についてもう少し説明したいと思う。

通常国債の格下げは、
1、自国通貨安
2、自国株安
3、自国債券(国債)安(すなわち金利上昇)

をもたらします。

その理由は、
『国債の信用度である格付けが下がると、国債の買い手が減少し、国債価格が下落(金利上昇)。』
『金利上昇を通じて、円金利調達をしている(主に)企業の調達コストが上昇し、企業業績が低下。これが将来の収益見通しを引き下げ、株安を発生させる。』
『自国通貨安については2つのパスが考えられる。1つは、既に日本のアセットに投資している海外投資家が、日本のアセットを売却し、換金資金の円を自国通貨に戻す。もう1つは、日本の投資家が日本のアセットに見切りをつけて、海外アセットを購入するために、円を売却し、海外通貨を買う。』

説明としてこんな投資行動が挙げられる。

しかし、今回の反応はどうだ?

格下げが発表されて24時間が経過し、日本株は17600円の最高値近辺を維持。為替については108.30円となっており多少の円高。結果だけ見ると、ほとんど影響がないのである。

これはナンデ???

それは『Aa3』から『A1』の格下げで、上記のような投資行動をとるプレーヤーが皆無に近いからである。『A1』は比較的高い投資適格等級であり、グローバル投資家への影響も少ない。

これが『BB+』のように、投資不適格級に陥落すると、『グローバル国債ファンド』などの投資対象から外れることにより、自動的に『対象国国債売り⇒その他投資適格国債買い』という行為が出る訳です。当然、マーケットは『BB+』まで待つわけではなく、BBB格まで下落すると、徐々に織り込み始める訳ですが、今回の場合、まだまだ下の余地があります。

念のため、申し上げておきますと、この考え方は『格付け会社の賦与する格付けが信頼に耐えうるものであれば発生するもの』です。お記憶にあると思いますが、2008年のサブプライムショックは、この信頼すらなくなっていたので、市場全体のボラティリティーが上昇した訳です。

格付け会社の話になると、また腹が立ってくるので多くを語るつもりはありませんが、当時盛り上がった『格付けの信頼性』について、その後の議論は進んでないよね。喉元を過ぎ、熱さを忘れているのでしょうが、今のうちにやっておかなければいけない、非常に重要な議論だと思います。

それは、現在我々が『過去最大の官製相場』の中にいて、『官のサポート』が揺らいだ瞬間に、パンドラの箱が開いて、そこから市場が抗えない問題児が多数飛び出してくるからです。

あっ、、、こういう話を書くと、また長くなっちゃうから、今日はこの辺で!!

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