2022年2月20日日曜日

統計学的な考察

東京都の統計データから、オミクロン株の感染拡大と今後の見通しについて私見を述べたい。


(東京都ホームページより抜粋、表は筆者作成)

(*1)感染しても検査しない人口を顕在化している感染者数の5倍と仮定。
(*2)ワクチン接種により感染を回避できる人口を接種人口の10%と仮定。

まずこの考察をとても難しくしている点を述べる。
グラフが示唆するように、検査人数は1月下旬をピークに減少(3万人→2万人)。一方で陽性率は40%前後で高止まり。東京都の検査キャパシティが4万件/日であることを勘案すると、検査難民がいる状況とは考えにくい。

通常であれば、検査人数、陽性率の関係は、検査キャパが十分であることを前提にすれば、ほぼパラレルに動くはずである。しかしこの3週間の動きは明らかに異なり、このデータは、「コロナ感染疑いのある人が検査にいかなくなっている」ことを示唆している。

このように考えると、潜在的な感染者が一定数いることが想定され、無症状感染者を含めると実際の感染者の3~10倍いるもの仮定できる。この仮定より潜在累計感染者数(d)を算出した。

次にワクチン接種によるプロテクションについて述べる。そもそもワクチンは感染防御というよりも、発症防御、重症化防御に重点をおいており、プロテクションは感染防御を示すものではない。薬学的にはこのような解釈がされるているものの、実際にはワクチン接種により(無症状も含める)感染しない層は一定数存在するため、上記仮定によりワクチンプロテクション人口(f)を算出した。なおこのプロテクションは接種以降の経過日数と流行株の特性により変動するものでもある。

上記2つの仮定により導出した感染しやすい人口(h)は、7,498,178人。毎日7.5万人(顕在1.5万人×5)の感染者がでるペースと考えると、あと100日で完全収束と算出できる。そして集団免疫獲得を85%と考えれば、72日間で達成できる。

なんにせよ、業務上まったく我慢することなく、禁欲生活を送っている自分にとっては「もうすぐじゃん」という感覚ではある。そもそもかなりラフな試算ではあるけど、「これからどうなるの?」という質問が、専門家ではないオイラのところにも時々来るので、一つの考え方(拠り所)として提示しておきたい。

この仮説は、集団免疫獲得の考え方をベースに論じている。よって最新の海外の報告にある、オミクロン株は複数回感染する人もいることを加味すれば考察の前提は崩れ、より悲観的な予測をする必要も出てくる。

悲観的な予測をベースにした疫学的なリスク回避の無限ループに陥らないために、重症化リスク層とそうでない層を切り分けることにより、医療、防疫、経済、社会という様々な面においてより現実的なアプローチが求められている。もっとも2%の確率で発生している後遺症については未だ未解明な部分が多く、「とりあえずオミクロンに感染して免疫を獲得すれば良い」という安易な発想については、強い懸念をもっている。

あーーーすっきりした。

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