2011年6月19日日曜日

国債村が崩壊する日

本日の日経新聞「中外時評」にこんな記事が掲載された。

欧米諸国では、「財政再建の為に緊縮策を打ち出す政府 VS それを拒む民衆」が激しくぶつかっているが、日本は主要先進国中最悪の債務比率だというのに平穏だ、、、と。

たしかに状況の説明としては正しい。①民衆の財政悪化に対する懸念は醸造されつつあるが、民意として盛り上がるものではなく、どっかの地域政党が【減税!】とか言うと、あっという間に票が集まってしまう。②安定的な国内消化をベースに、日本国債金利は低位安定を継続。

なぜ、金利が上昇しないのか?という議論は、さんざんし尽くしたので、今回は割愛(というか、当方は、この説明にまったく納得していないし、近いうちに金利急上昇があると見ている)。ここで議論したいのは、文中に出てくる「金融界に先のことを考えている人がいない。」というコメントだ。

自民党の財務金融部会が今月初め、財政不安から国債金利が急上昇した場合の影響や対応策を記した「Xデー・プロジェクト」報告書(同党のWEBで見れます)をまとめた。

大変有意義な活動だと思うし、こういうアクションをメディアはもっと取り上げるべき。しかし、、、そのヒアリングにおいて、自民党議員の一部から上記コメントが出ているのだ。なんでも金融界は目先の利益のみ追求していて、2~3年先のことは考えても無駄だと考えていると、、、

ヒアリングした先が金融界でも市場部門関連セクションだったか否かで意見は大きく違うと思うのですが、この記事は事実を正確に伝えていないな。

2~3年先の事を考えても無駄、と言っているとしたら、それは、【安定政権が展望できない日本の政治下で、中長期の財政運営を考えることは出来ない】という諦めにも似た意見だと思う。当方の体感として、市場参加者のほとんどは、上層部から末端まで、この国の財政について憂慮していると思うし、危機意識がないとすれば、そんな参加者はただちに退場すべきと考える。

確かに、結果として銀行の余剰資金運用は日本国債に傾斜している。10兆円単位の運用をしようとしたら、これ以外に術が見つからないのだから仕方がない、、、というのが現状の優等生的な答えではあるが、本当にヤバいと思えば、外債運用を円投にシフトしていくも良し、長短金利差を狙わずに日銀当座預金に塩漬けにするも良し、選択肢はいくつかあるはず。

もしそうなったら、困るのは政府であり、財務省である。これまでも、何度も金融界からは警告を発していたはずであり、この日経の書きぶりにはちょっとカチンと来たね、、、

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