マイナス金利の弊害と各国中央銀行の対応策について、とても【乱暴に】論じる。
ECB、スイス中銀、日銀が採用しているマイナス金利は、金融機関の中央銀行への預け金(預金)の一部を対象にした適用金利である。この政策は、マイナス金利適用を逃れようとした銀行の資金が、民間ローンに流れ景気刺激効果をもたらすことを期待している。
もっとも民間ローンへの影響については様々な見解が述べられており、効果の有無については検証しきれていないのが現状である。なぜなら借り手である企業、個人の借入は金利だけで決定されるものではないからである。
主要先進国の金融機関は現在預金超過の状況にある。その状況下でのマイナス金利導入の弊害は主に2つである。一つ目は、余剰資金運用のメインである国債のイールドカーブがゼロ以下に沈む。二つ目は、ローン金利カーブが預金金利カーブ対比でブルフラットする。
この二つの現象による損得は以下のようになる。一点目は、銀行の余剰資金運用のパフォーマンスが低下し、発行体である各国財務省が得をする。二点目は、貸し手である銀行の貸出対応収益が減少し、借り手である企業、個人が得をする。
二点目については、各国中央銀行が望んでいた効果なのだろう。しかし一点目については、頭を痛めているのが正直なところではないか。もしそうであれば、一点目を解消し、二点目を残してやればよいのではないか。
すなわちマイナス金利を採用している全ての中央銀行が全てゼロもしくは有金利に戻す。そしてローン金利については、そのままにすれば良いのである。手法としては貸出に規制金利を設けるという方法がある。自由金利下で突然の規制金利採用には抵抗があるかもしれないが、そもそも採用している政策自体に弊害があるのであれば一考の価値はあろう。
極論をすれば、マイナス金利政策は金融機関の収益を、その他民間経済に移転するものである。財政政策に限界のある国が、安定収益主体である金融機関を使って、税ではない形での資金移転を狙っているのである。
反論を承知で申し上げれば、金融機関は保護され続け、儲け続けてきた。そして各国政府は金融機関をうまく使ってきた。リーマンショック(←面倒くさいのこう書いておく)までの米国は、金融産業がコア産業であったと言っても過言ではない。この手法を変えるべきと考えているのであれば、マイナス金利を適用し続けても良いだろう。しかしこれからも金融機関をうまく使う事を考えているのであれば、各国ともマイナス金利政策を上記のような視点で見直すべきではないだろうか。
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