日銀は本日の金融政策決定会合で、戦後金融史において世界初となるイールドカーブコントロール政策を導入した。直前の金融市場(特に資金余剰主体)からは「金利が低くなりすぎて困る(≒金利収入が減少して困る)」との声が多く聞かれていたので、それに呼応する政策変更でもあった。
かかし、、、声高に文句を言っていた人たちは、本当にこれで良かったのだろうか? 逆に、とんでもないカウンターパンチが飛んできたんじゃない?
だって今日の日銀の決定は、「金利が低い低いと文句を言うなら、10年金利も固定金利にするから、もうトレードもするな。当然、文句も言うなよ。」と殴り掛かってきたようなもんだ。
でも当然の帰結だよね、いいんじゃない、これで。
イールドカーブコントロール。正直、一般の方にはピンとこない表現だし、「あんまり変わってないんでしょ」という印象すら抱くんじゃないかな。そういう人に分かりやすく表現すると、「規制金利時代」に逆戻りしたようなもんだとお伝えしたい。そうだよ、先進国が採用するような金融政策ではない。
一般の方に、もっと分からない話をする。
2013年4月黒田バズーカが砲火しイールドカーブはグシャグシャに動いた。これではたまらんと悲鳴を上げた市場参加者の陳情に日銀は、「セクター別輪番(残存年限を区切った国債買い入れオペ)」を導入した。きめ細かな対応のおかげでカーブ全般にボラティリティーは低下し市場は落ち着いていった。
本年1月のマイナス金利政策導入と共に、イールドカーブはズブズブと沈下し、10年金利までマイナスに沈んだ。すると市場参加者はまた、たまらんと悲鳴を上げた。日銀はこの市場参加者の陳情に、今回の施策を打ち、「セクター別輪番」を廃止したのである。
どっちが訳分からんかって?どっちもどっちだけどより大きな大義をしょってるのは、やっぱり日銀なんじゃないの?
確かにイールドカーブの沈下で金融機関の収益環境は悪化している。オイラだって銀行員のはしくれだった訳で、その窮状も身にしみてわかるよ。だってこれ以外に儲けようがないんだもん。
そんでもって金融機関の収益環境悪化が信用創造機能の崩壊を通じて実体経済に悪影響を及ぼしたら、それこそマクロ的な問題を引き起こすことだって分かってるつもりだ。多分、日銀もその点には十分考慮していると思う。
この政策は、(旧規制業種かつ、旧公的資金投入業種かつ、比較的高収益主体である)金融機関の収益減少とマクロ経済の浮揚を天秤にかけながら平均台の上を全力疾走するCrazy Gameなんだよ。いい加減、これをアクセプトしないと真っ先に天秤から転げ落ちるよ。
おまけにこの平均台は年々高くなるんだよ。
出身業界の窮状にこんなことを言って申し訳ないと思うけど、やっぱり金融は甘いところがあると思う。もっともっと身を削って経費を抑える経営にシフトしないといけない。独り言では何度もコメントしてるけど、「私たちは今、過去最大の官製相場」に住んでいる。これは異常な状態なんだよ。異常な環境下にいることが分かっていながら、「異常で困ってます」と言うのは経営者として失格だよ。
あなたたちは異常な環境下でも抜ける真剣を持っているはずだ。それが何かを理解し戦い続ける、それが企業戦士ってもんなんじゃないか?これは根性論ではないからね。
幸い今回の政策変更は「劇薬ではなくマイルドに時間を稼げる仕掛け」にもなっている。天秤のバランスを取りながら平均台が地上に向かって着地していくことを強く希望している。
金融政策変更への第一印象として、個人的には目の醒める一撃を喰らった感覚。考えは少しづつ変化するかもしれないが、まずは散文として記す。
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