2015年11月23日月曜日

ディマンドプルインフレの兆候?

金融市場の方々は話半分、興味半分で聞いてください。

日本国内の財およびサービスの一部に、なんと!ディマンドプルインフレの芽が出始めています。それは、、、、牛肉です!

『またか。。。』という人もいるかもしれませんが、オイラはこの現象を発見した時、鳥肌が立ちました。小話のネタとして引け後にでも読んでみてください。

日本の畜産産業は事業の不安定性、労働環境の厳しさなどから、担い手が減少の一途を辿っております。政府はこの現象にブレーキをかけるべく、畜産産業においては様々な助成金をつけています。肉牛関連では、『肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン)』が有名です。

これは、簡単に言えば『赤字の8割を国が補てんする』というものです。勿論、一頭一頭個別にやるのは難しいので、平均単価などを使って助成金を出すのですが、この補てん金が今年の6月くらいからゼロ近辺まで低下しているのです(図1)。

図1 新マルキン事業の補てん金単価の推移(alicウェブサイトより抜粋)



しかしですね卸売市場における牛肉価格は上がっているのです。これだけでは金融市場の方にはピンと来ないかもしれません。ようは、上記の補てん金は、『肉牛の販売価格 - 生産コスト=赤字』になった場合に発生するものです。これがゼロ近辺にいるということは、生産コスト以上で肉牛が売れているという事です(簡単に言えば黒字です)。

そして、細かな資料は面倒なので割愛しますが、家畜向け飼料(=エサ)の価格と人件費は上昇傾向にあります。これは金融市場の方々は納得ですよね。

そして肝心の販売価格はどうなのかというと、図2のようになります。

図2 肉牛子牛取引価格(肉牛ジャーナルデータより筆者作成)



上昇トレンドを継続しています。これらを総合すると、現在の牛肉市場および生産現場である畜産市場においては、『生産コストを上回る価格で牛肉が取引されており、生産コスト、牛肉価格ともに上昇傾向であるが、その上昇速度は牛肉価格の方が速い』ということが出来るのです。

すなわちディマンドプルインフレです。補てん金単価がゼロになってから、まだ日が浅いので今後どのように展開するかはまだ分かりません。金融市場との大きな違いは、これが生き物だということです。基本的に牛肉は生後30か月程度で販売されます。すなわち、『好景気下で需給が締まった時に増産(種付け促進)したものが、2年半後に市場に出回る』訳です。そのため景気の波からはある程度遅れた波形を見せるのです。

そうです遅行指標なのです。

マニアックなことを長々と書きましたが、個人的にはかなりサプライズでして、これを発見した時は本気で物価連動債の購入を考えたほどです(笑) 

でもね、、、コスト面ではコモデティー価格(グローバル需給&景気)、人件費(国内景気&人的資源)、そして販売面では消費者の購買力(国内景気&個人消費)、商品としての需給(輸入分、国内単体)が反映される面白い分析だと思っています。

さてさて、これからどうなるのか楽しみです。





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