2010年5月9日日曜日

相場見通し

ようやく株式市場が下がり始めた。もっとも下落のきっかけは当方が予想していたものとは大いに違った。言わずと知れた、南欧ソブリン懸念だ。

個人的には、今回の市場回復は公的サポート依存型のジョブレスリカバリーという見方をしていたため、回復ペースは緩慢と見ていた。しかしどうだろう?主要先進国の回復ペースは予想以上に早く、雇用も予想外のスピードで改善した。

結局、公的サポートが行き過ぎた?という見方が正しいのか?リーマン破たん以降、グローバルな金融システム不安を払しょくするため、さまざまな公的サポートが打ち出された。昨年初のコメントで、『公的サポートが高格付けクレジットのタイトニングを発生させる。』と至極当たり前な指摘をしていたが、そこに生まれた過信が今回の崩壊マグニチュードを増幅させてしまった。

何が言いたいかと言うと、また格付け神話にしてやられたわけである。ギリシャ、スペイン、ポルトガル、、、先日の格下げ前までは比較的高い格付けを有していた。そして、公的サポートに支えられて、金融機関は順イールド投資と、高格付けクレジット投資を積極化し、タイトニングの極みまで行きついてしまった。少しでも超過リターンの取れる、このようなソブリンのクレジットも積極的にリスクテイクしていたのである。

そもそも、このような国々に本当にそれだけの信用があったのだろうか?当然ない、、、しかし、ソブリン格付けに対する格付け機関のスタンスは、市場関係者から一定の信頼を得ていた。それは、、、砂上の楼閣のようなもので、『ソブリンのダウングレードは基本的に緩やか。』というものだったのでは?

急速にバランスシートの悪化した米国に対するスタンスしかり、日本しかり、、、だったら全部チャンと評価しろと。今回の混乱が継続すれば、ギリシャなどに対する債務の多い周辺国、およびその金融機関の格付けにも影響が出るだろうし、その影響は他地域への伝播するはずである。

日本の金融機関についても、リーマンショック以降拡大した欧米向けエクスポージャーは無視できるものではない。

と、、、総悲観なコメントに見えますが、今回の混乱は近々収まるものと見ています。それは、、、2008年に比べると、高次元(低格付けプロダクトではないという意味)で、前回対比低いレバレッジが解けているに過ぎないからです。

当然、ギリシャの末路は気になりますし、ダメージの大きさは取引規模によって様々ですから、破綻する中小金融機関などはあるのでしょう。しかしマクロ的に見れば上記のような現象であり、景気回復に比して早すぎた市場回復に多少の水を差す程度の影響と見ております。

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